鳥越規央先生が引退する名プロ野球選手を紐解く!サブロー選手(千葉ロッテマリーンズ)

鳥越規央先生が引退する名プロ野球選手を紐解く!サブロー選手(千葉ロッテマリーンズ)

日本セイバーメトリクス協会で会長を務める鳥越規央先生に「数字」を軸に、サブロー選手(千葉ロッテマリーンズ)の持つ魅力を紐解いていただきました!セイバーメトリクスの観点から分析することで、千葉ロッテマリーンズが産み出した「つなぐ4番」の新たな魅力を発見することができました。


(1)鳥越先生にサブロー選手の魅力を紐解いてもらいました

 2016年9月26日に惜しくもプロ野球選手としての現役生活を終えたサブロー選手(千葉ロッテマリーンズ)の魅力を、日本セイバーメトリクス協会で会長を務める鳥越規央先生(以下 鳥越先生)に「数字」を軸に紐解いていただきました。試合当日、鳥越先生はサブロー選手の試合を取材予定でした。鳥越先生の御厚意でBaseball365も現地取材に同行させていただくことができ、本記事を作成することができました。


 レギュラーシーズンが終わり、改めて振り返るとサブロー選手の引退試合はとても感動的でしたね。私は当日、朝の9時半に海浜幕張駅に到着したのですが、既に多くのファンの皆様がいらっしゃって驚きました…!

早朝にもかかわらず、多くのファンが海浜幕張駅に集まりました。

現役・OBを問わず球界関係者から多くの花が寄せられていました。

当日はしっかりと「サブロー肉うどん」を食べ納めしておきました。

 当日のQVCマリンフィールドは3万113人ものファンが来場して「超満員」という言葉がよく似合う様相でした。今シーズンのQVCマリンフィールドの1試合平均の観客動員数は2万1千207人。通常時よりも42%増の来場者数です!「こんなにも多くのファンにサブロー選手は愛されていたのか…!」と改めて実感させられました。

 運命の引退試合開始、サブロー選手は「4番 指名打者」で出場し最後の勇姿をファンにみせました。全打席、「一意専心」という言葉がよく似合う集中力で挑み、皆の期待に応えました。最終回では指名打者を解除し、守備にもついて外野応援席のファンに最後の別れの挨拶を済ませました。

当日はサブロー選手らしい二塁打を放ち、有終の美を飾りました。ライトスタンドだけでなくレフトスタンダも熱く湧きました。

 引退セレモニー終了後、ファンからサブロー選手へ応援歌の熱唱が届けられました。QVCマリンフィールドではファンの声援を測るための音量測定器が設置されていますが、もしも計測していたらどれだけのデジベルを記録することができたのでしょうか…?サブロー選手への熱い想いが伝わってくる力強くも美しい歌声でした。

 Baseball365は鳥越先生と共に1つの時代を築き上げたサブロー選手の魅力を数字と共に紐解きます。それでは鳥越先生の解説をお楽しみ下さい!!

(2)平均値と比較してもサブロー選手は息の長い選手だった

──本日はサブロー選手の引退試合ですね。鳥越先生が着目されている点を教えてください。



鳥越:私がまず着目したいのがサブロー選手の年齢と現役生活年数です。



──確か、サブロー選手が現役を引退される現在の年齢が40歳、現役生活年数は22年ですよね。



鳥越:平均値と比較するとサブロー選手は息の長い選手だったことをご存知でしょうか? NPBが発表した2014年3月時点のデータによると引退する選手の平均年齢は29.7歳、在席年数は9.5年となります。

*出典元
NPBホームページ 戦力外選手/現役引退選手の平均年齢(12球団平均)
http://npb.jp/npb/careersupport2014_3.html

──サブロー選手は平均年齢より10.3歳も高く、約2.3倍の在籍年数を持つのですね…!



鳥越:今シーズン、40歳以上までプロ野球選手を続けられていたのは11名だけでしたので、いかにサブロー選手が稀有な存在だったのかが分かるでしょう。現在、プロ野球の支配下選手は1球団あたり約70名。12球団で計算すると約840名のプロ野球選手がNPBに所属していることになります。ここに育成選手も合算すると約900名くらいでしょうか。その上で計算すると40歳以上のプロ野球選手の割合は約1.2%となり、存在数が非常に少ないのです。



──サブロー選手自身の努力はもちろん、自身の現役生活の大半以上を占める千葉ロッテマリーンズのサポート体制の良さも合ったと思わざるをえません。



鳥越:サブロー選手が入団当初に掲げられていた「40歳までプレーする」という目標を達成されたことに私は心から拍手を贈りたいです。

(3)マリンガン打線の「つなぐ4番」はセイバーメトリクスの申し子だった

鳥越:ここでサブロー選手が引退会見で最も印象深かったと語った「日本一を決めた2005年」について振り返ってみましょう。



──2005年、日本一になる原動力となった千葉ロッテマリーンズのマリンガン打線はとても印象的でしたよね。



鳥越:当時のサブロー選手は8月から4番打者を任されて、世間からは「つなぐ4番」と呼ばれていましたよね。セイバーメトリクスの観点からサブロー選手の当時の打撃成績を評価してみましょう。

(3-1)実は「つなぐ4番」ではなく「主砲」!?

鳥越:確認ですが2005年も含め、サブロー選手にはどのような印象をお持ちですか?



──私は「つなぐ4番」という印象が強いです…。サブロー選手自身が決めるのではなく、繋いで後ろに託していくイメージでした。



鳥越:2005年のサブロー選手ですが、実は「主砲」という言葉のほうが似合います。ここで当時のマリンガン打線のOPS(選手の攻撃力を測る指標)を確認してみましょう。

*出典元
NPBホームページ 個人年度別成績より本図を作成
http://npb.jp/

──OPSは.901…!おっしゃる通り「主砲」という表現が似合う成績じゃないですか…!



鳥越:このシーズンのサブロー選手は394打席と、規定打席には惜しくも27打席(約6~7試合)足りませんでした。しかしながら本塁打数はチーム3位、長打率はチーム2位、出塁率・打率はチーム1位と主軸を任せるのに相応しい成績を残していたのです。

(3-2)球場補正が「つなぐ4番」という言葉をうみだした

──これだけ素晴らしいOPSでしたのに、なぜ「主砲」のイメージが産まれなかったのでしょうか?



鳥越:まず予想されるのが、千葉ロッテマリーンズがホームグラウンドとしているQVCマリンフィールドの「球場補正」の影響です。QVCマリンフィールドは浜風の影響で、ホームランをはじめとした長打が出にくい環境なのです。



──先生のお話を聞いた後ですと、QVCマリンフィールドをホームとするならば長打率だけではなく、出塁率も求められそうですね。



鳥越:その通りです。長打率だけでなく、出塁能力も持ち合わせるサブロー選手はまさにQVCマリンフィールドに最適な主軸候補だと私は考えています。

*出典元
YAKYUJO.com
http://yakyujo.com/pf/

(3-3)「つなぐ4番」の指名者はセイバーメトリクスの知見を持つ

──2005年にサブロー選手を「4番打者」に指名したボビー・バレンタイン監督(以下 バレンタイン監督)はセイバーメトリクスの知見をもっていましたよね?



鳥越:バレンタイン監督はセイバーメトリクスを積極的に採用した日本初の監督ですから、その通りです。セイバーメトリクスの知見を持つバレンタイン監督は、サブロー選手の長所を正確に見抜いていたのでしょうね。


 マリンガン打線が猛威を奮った2005年、公式戦・プレーオフ・日本シリーズを含む全147試合で採用した打線は135通りにも及びます。日本では予告先発制度が取り入れられているということもあり、統計データを野球に取り入れることに習熟したバレンタイン監督だからこそできた作戦だったのでしょう。

(3-4)下克上でも「つなぐ4番」の活躍が光る

鳥越:サブロー選手は、史上最大の下克上を達成した2010年も「つなぐ4番」として大活躍しました。レギュラーシーズン残り3試合、1試合でも落としたらクライマックスシリーズへの出場が断たれてしまう「結びの三番」とよばれた三連戦から再び、4番として起用されましたよね。その後、ポストシーズンでも4番を打ち続けて千葉ロッテマリーンズの日本一に大きく貢献しました。



──改めて素晴らしい実績を残した名選手だという事を実感することができました。


(4) 7秒38の長さに込められた想い

 QVC マリンフィールドでウグイス嬢をつとめられている千葉ロッテマリーンズ球団職員の谷保(恵美)さんに「サブロー選手の引退試合にかける想いを」聞かせていただくことができました。谷保さんといえば特徴的な「サブローコール」で有名ですよね。以下は谷保さんへのインタビューです。

──はじめてサブロー選手から「サブローコール」を依頼されたときの想い出を教えてください。



谷保:最初、サブロー選手から「特別な感じ」と依頼されたときに「どうしようかなぁ…」と悩みました(笑)。その後、試行錯誤を重ねて行く過程で「ロー」の部分が長くなっていき現在の姿に落ち着きました。



──これまで黒木(知宏)投手、小宮山(悟)投手といった千葉ロッテマリーンズを支え続けきた様々な選手達が引退していく姿を見守ってきましたよね。もちろんサブロー選手もですが、功労者が去っていくのは寂しいですか…?



谷保:ずっとチームを支え続けてくれた選手達ですから、とても寂しいです…。これまで送り出してきた選手に甲乙を付けるのは難しいです。



──試合前のお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました!



谷保:今日はサブロー選手をしっかりと送り出したいと思います。

 皆様がご存知の通り、谷保さんが最後に聞かせてくれた「サブローコール」は史上最長の7秒38!サブロー選手への想いを感じさせてくれる数字でしたね…!

サブロー選手を送り出すために、千葉ロッテマリーンズ側でもコラボグッズを作成する粋なはからいを見せてくれました。

(5)第2の「つなぐ4番」は登場するか?

──総括としてうかがいたいのですが鳥越先生、本日の試合はいかがでしたか?

鳥越:サブロー選手の持つ魅力を改めて実感させて頂けた試合でした。いらっしゃったファンの動員数にも驚かされましたし、最終打席で見せてくれた全盛期を思い出させてくれる二塁打も見事でしたしね。もちろん、谷保さんが聞かせてくれた最後の「サブローコール」も印象深かったです。



──今後、千葉ロッテマリーンズに期待したいことを教えてください。



 球場の特性やチーム事情を考えれば、急な長距離砲育成を望むのは酷かもしれませんが、今後千葉ロッテマリーンズが、再びセイバーメトリクスを取り入れて打線を組むことがあればぜひ、「つなぐ1、3番」「決める2、4番」を意識して取り組んでいただきたいと願います。いつかサブロー選手がコーチングスタッフとしてチームに戻るときにはぜひともよろしくお願いいたします。



──本日は取材へ同行させていただき、ありがとうございました!

【取材協力】
・日本セイバーメトリクス協会
会長 鳥越規央

http://www.j-sma.org/

・株式会社千葉ロッテマリーンズ
http://www.marines.co.jp/

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