わが子を将来アスリートに!お母さんのためのスポーツ栄養学

わが子を将来アスリートに!お母さんのためのスポーツ栄養学

プロスポーツ選手を目指して、練習に取り組むお子さまを応援しているお母さんは多いのではないでしょうか。からだづくりには、運動だけでなく食事も重要な要素。そこで、タニタの小澤智子さんにアスリートを目指す子どものためのスポーツ栄養学を詳しくお聞きしました。「将来はわが子をアスリートに育てたい!」というお母さん必見の内容です。


 東京オリンピックを4年後に控え、プロ・アマを問わずさまざまな種目のスポーツが盛んな昨今。プロスポーツ選手やオリンピック出場を目指して、練習に取り組むお子さまを応援しているお母さんは多いのではないでしょうか。

 子どものころはからだをしっかり作る上で大切な時期。トレーニングだけでなく、食事も重要な要素となります。そこで今回は、株式会社タニタ企画開発部の管理栄養士・小澤智子さんにアスリートを目指す子どものためのスポーツ栄養学を詳しくお聞きしました。「将来はわが子をアスリートに育てたい!」というお母さん必見の内容です。

小澤智子さん
株式会社タニタ 企画開発部 生体科学課 管理栄養士
専門はスポーツ栄養学、成長期の食育。多くのプロや実業団などのスポーツチームで栄養指導やアドバイスをする一方で、活動量計など健康計測機器の研究・開発に取り組む。スポーツ観戦をしていても選手の筋肉や体組成が気になってしまうという。成長期の子どもには食事を楽しみながらからだをつくってほしいと語る。

からだは食べたものからつくられる

 当たり前のことなのですが、骨や筋肉を含めて人のからだは食べたものでつくられています。背を伸ばしたいという場合も、筋肉をつけたいという場合も、トレーニングだけでなく食事を見直すことが大切です。

 アスリート向けの食事というと、「プロテインやサプリメントをプラスすればいいのか?」と考える方もいらっしゃいますが、まずは食事の基本を押さえることが重要です。

 食事とあわせて考えてほしいのが、自分のからだの状態を知るということは、とても大切です。例えば、ダイエット中の方は毎日体重をはかりますが、成長期の子どもは自身の体重の増減をあまり意識していないのではないでしょうか。しかし、先ほども述べたように、からだは食べたものでつくられます。毎日、体重や体脂肪率、筋肉量などの体組成を、そして定期的に身長をはかることで、自分のからだがどのように成長し、変化してきているのかを把握することができます。

 また体組成の計測を通して、自分の体調の変化に気づくことができるというメリットもあります。例えば、毎朝同じ時間に体重をはかっていて前日よりも体重が減っている場合は、「疲労が回復していない」、「水分補給が足りない」などの判断材料になります。その場合は食事や水分をしっかり摂って減少した分をリカバリーする必要があります。

 こうしたことを小さなころから親子で取り組んでいると、子どもが合宿や遠征に行ったときでも自分自身で栄養や体調の管理ができるようになるはずです。

プロのアスリートの食事は真似るべき?

 アスリートがパフォーマンスを向上させるには食事が大切という考え方はかなり一般的になってきているので、多くの方がご存知だと思います。特に、優れた結果を出している選手はどういった食事をしているのか、気になりますよね。

 例えば、プロ野球のイチロー選手が毎朝カレーを食べていることが話題になると「朝カレー」がはやり、テニスのジョコビッチ選手がグルテンフリーに関する本を出すと急に「グルテンを排除した食事」を摂るといった具合に、影響を受ける方がたくさんいます。それだけ一流選手の食事は世間の関心が高く、影響力があります。しかし、成人したプロ選手の食事を成長期の子どもたちが真似をすればいいということではありません。ジュニアの選手はあくまで成長期の子どもなので、まずは食事の基本を押さえて適切な食習慣を整えることが重要です。

アスリートの食事の基本は「給食」と同じ

 では、どんな食事がいいのでしょうか? 結論からお伝えすると、スポーツでパフォーマンスを向上させる食事の基本は、写真の通りになります。わかりやすい例を挙げると、学校給食をイメージするといいですね。

 日本の学校給食は優れていて、とてもバランスよく作られています。ただ、果物がないこともあるので、そこをご家庭で加えていただいて1日の中でバランスを整えてください。

「これにプロテインをプラスした方がいいんじゃないの?」
「カルシウムの吸収を助けるためにビタミンDを多めに取った方がいいんじゃないの?」
「サプリメントは?」
などなど、様々な声が聞こえてきそうですが、まずはこの食事の基本を押さえてください。

 ちなみに弊社が運営しているタニタ食堂のメニューは、基本的に「主食+主菜(タンパク質を含むもの)+副菜(野菜中心)2品+汁物」で構成されています。ただし、1食あたりのカロリーを500kcal前後に抑えているので、成長期のお子さまには年代や体格によっては不足してしまいます。ご飯を増やしたり、年齢によっては主菜を増やしたり、納豆や豆腐をプラスしたりするなどの工夫が必要です。

男子でも貧血に…!成長期こそ食事が大切

 人のからだが大きく成長するのは赤ちゃんの時期と、小・中学校の時期です。特に小・中学校の時期にスポーツをすると「成長+運動」でからだには大きな負担がかかります。そのため、既にからだができあがったプロの選手とは違う意味での食事の管理が必要になります。

 男子は小学校高学年から中学校、人によっては高校生になるころにぐんと身長が伸びますが、それに伴って「成長痛」を発症したり、「野球肘」や「野球肩」などの故障を抱えたりするケースが増えます。このほかにもからだの成長に対して栄養が不足すると、貧血を起こすことがよくあります。

 貧血は女性に多いというイメージがあるためか、元気な小・中学生の男子が貧血になるのは予想外で驚かれることが多く、「なんだかやる気がない」「ダラダラしている」と見られてしまいがちです。しかし、このような様子にプラスしてバテやすくなったという症状が見られたら、それは成長と運動量の多さに造血が追いつかずに貧血を起こしている可能性があるかもしれません。

 貧血は持久力の低下を招きスポーツにおいてパフォーマンスを発揮できなくなるので注意が必要です。

プロのスポーツ選手も取り入れているおやつとは?

 プロのアスリートも取り入れていますが、おやつも活用してほしいですね。ここで気をつけていただきたいのは、「おやつ=お菓子」ではありません。必要な栄養素を補給するための補食で、スナック菓子ではなく、おにぎりやパン、バナナなどがおすすめです。どうしても、甘いものが食べたいときはカステラやどら焼きなどがいいですね。

 炭水化物ばかりで大丈夫かと思われるかも知れませんが、練習前に食べることでエネルギー源になります。高校の部活動では、チームで炊飯器を購入し、マネージャーがおにぎりを作っているところが増えています。小学生も練習に行く前におにぎりやパンを食べてから行くといいですよ。

ファーストフードは「悪」なのか?

 子どもはハンバーガーやラーメンなどを欲しがることがあります。親としては与えていいのかどうか、判断に迷うことが多いのではないでしょうか。また、地方遠征に行くと、栄養バランスの整った食事を摂ることが難しい場合もあります。そんな時は、ファーストフードはすべてダメということではなく、その中でいかに栄養バランスを取るかを考えることが大切です。

 外食するときは、例えば「野菜の多いメニューにしよう」「飲み物は甘い炭酸飲料ではなく牛乳にしよう」といったチョイスができる子どもに育てていただきたいですね。もちろん、全て手作りで栄養バランスが整っているのが理想的かもしれませんが、現実的には難しいですよね。また、ファーストフードが絶対にダメと教え込むと、反発してしまうかもしれません。例えば「昼食はファーストフードしか食べてないけれど、足りない栄養素は夕食で補おう」といった応用力や柔軟性を身につけるという方法もあると思います。

 その力は一朝一夕で身につくものではなく、子どものころからの食生活や食事時の親との会話で育まれていくものです。普段の会話の中でも、さりげなく栄養の話をするようにしてみてください。

栄養の知識を身につけると、将来本人にとって強みになる

 プロの選手でも、ジュニアの選手でもホテルの食事がバイキングの時は、それぞれの選手の栄養に関する知識量がよくわかります。好きなものばかりを選ぶ選手もいれば前述の食事の基本を考えて料理を選べる選手もいます。この差は、育った環境の中で、保護者や指導者の方がいかに栄養バランスの大切さを教えて、選手にその習慣が定着しているかどうかの指標になります。

 ただ、そう話すと熱心なお母さんは子どもに栄養素の話や栄養学を教え込もうとしがちです。私は食事は生きていくうえでの楽しみの一つだと考えていますので、ジュニア選手の頃は、「食事は大事、好き嫌いなくしっかり食べる」ということを理解できれば良いと思います。

スポーツ栄養学は楽しみながら身につけよう

 いろいろと述べてきましたが、スポーツ栄養学は難しくとらえないでいただきたいですね。何度も言いますが食事は楽しむことが大切です。「○○を食べなきゃいけない」と義務感で食事をするとストレスになってしまいます。お母さんもご自身の健康やダイエットにも役立つので、栄養学に関心を持っていただくことから始めてみてはいかがでしょうか。

 そこで、今回はお母さんにおすすめの「栄養学」入門書を紹介します。

1.好きになる栄養学 第2版
2.小・中学生のスポーツ栄養ガイド―スポーツ食プログラム

 ほかにも身近なものでは、学校が配布している「献立表」や「給食便り」などに書いてあるコラム、ひと口メモなどを参考にされるといいですよ。旬の食材やその栄養素などが書いてあるので勉強になると思います。

 そして、体組成の計測はぜひ続けてみてください。弊社の「デュアルタイプ体組成計 インナースキャンデュアル RD-903」は世界で初めて筋質(筋肉の質)の計測を実現した体組成計です。筋質をはかり続けることで、筋肉の変化を細かく知ることができます。また、スマートフォンのアプリでもデータ管理することができるため、親子で楽しく続けられますよ。

取材をおこなった株式会社タニタ(東京都板橋区)

※本サイトへの許可なく画像・文章などの無断転載、無断引用を禁じます。

この記事のライター

関連するキーワード


スポーツ栄養学 タニタ

最新の投稿


「外野手」とは?攻走守3拍子揃うのが理想!【野球ポジション#4】

「外野手」とは?攻走守3拍子揃うのが理想!【野球ポジション#4】

プロ野球はオフシーズン。来シーズンへの予習も兼ねて改めて「外野手」について紹介します。外野手とは本塁から見て、左側を守る左翼手と右側を守る右翼手、そして左翼手と右翼手の中間地点を守る中堅手といった外野の守備に就く3人の野手のことを指します。


つば九郎本鳥による単行本手羽渡し会が開催!

つば九郎本鳥による単行本手羽渡し会が開催!

日本シリーズも終わり2017年のプロ野球が終了。試合が開催されなくなるオフシーズンですが、各球団、ファンとの交流を深めるために様々なイベントを開催しています。そこで東京ヤクルトスワローズのつば九郎が11/9、自身を題材にした漫画「天にむかってつば九郎 第2巻」手羽渡し会を行ったのでモデルケースとして紹介します


11/3 神保町に野球に関する本が勢揃いしました!

11/3 神保町に野球に関する本が勢揃いしました!

 11/3文化の日、東京・神保町に野球に関するありとあらゆる書籍が集められて「神保町野球ブックフェア」が開催されました。野球に関係する様々な本の販売はもちろん、トークショーも堪能することができます。まさにプロ野球ファンのためのブックフェアと言っても過言ではないでしょう。


10/30 東京カルチャーカルチャーで野球ファン交流戦が行われました!

10/30 東京カルチャーカルチャーで野球ファン交流戦が行われました!

皆さんは、東京カルチャーカルチャーで開催された「野球ファン交流戦」というイベントをご存知でしょうか?野球ファン交流戦は、言うならば野球ファンによる野球ファンのためのコミュニケーション型イベントなのです。


野球選手の脚を守る!ストッキングを解説!

野球選手の脚を守る!ストッキングを解説!

野球をプレイするにおいてグローブ、スパイクなどの道具は必須ですが、ユニフォーム、アンダーソックス、そしてその上に履くストッキングなどといった衣類も必須なのです。そこで今回は、存在自体があまり知られていないストッキングについて解説します!