球速アップしたい!中学球児におすすめのトレーニング方法をご紹介

球速アップしたい!中学球児におすすめのトレーニング方法をご紹介

将来プロ野球選手を目指す中学生のピッチャーに向けて、球速アップするためのトレーニング方法をご紹介しています。ピッチャーのパフォーマンス向上に詳しい、理学療法士の方に執筆いただきました。


中学生は骨格の成長が著しい時期で全身のバランスが失われやすい時期になります。

この時期に合った適切なトレーニングを行わないとトレーニングをしていても成果があらわれないだけでなく逆にパフォーマンスが下がってしまう危険性があります。

今回は発育・発達の過程から中学生がどのような段階にあるのか、またその背景を踏まえたうで科学的に球速アップに効果的なトレーニングメニューについて紹介していきたいと思います。

なお、この記事はピッチャーのパフォーマンスアップに詳しい、理学療法士の芹田祐さんに執筆いただきました。
運営ブログ:https://pitcher-room.com/

中学生の発育・発達の特徴

急激な身長増加

まず、はじめに中学生の体格の変化について話していきます。

選手によって個人差はありますが、中学生になると第二次成長期入り、身長がぐんぐん伸びる選手が多くなります。

また、身長だけでなく筋力もつきやすくなり、体格の急激な変化が起こります。

身長や筋力の増加は球速アップの視点では喜ばしいことなのですが、その変化が急激に出現する選手も多く、そのために運動神経と体のバランスが乱れてパフォーマンス低下が生じる選手もいます。

中学生がトレーニングを行う際には体格変化に伴う課題を踏まえたうえでトレーニング内容を考えていく必要があります。

中学生は柔軟性低下に注意

身長が伸びることによっておこる1つ目の課題は柔軟性低下です。

骨が急速に伸びていくのに対して骨にくっついている筋肉が大きく伸びることはありません。

骨の成長によって筋肉は無理に引っ張られて固くなりやすくなります。

中学生の時期にストレッチを積極的に行わないと柔軟性低下がどんどん進行していきます。

1つ簡単な柔軟性チェックをしてみましょう。

うつぶせで寝て足首を持って膝を曲げてみてください。

かかとがお尻につくところまで膝が曲がりますか?

かかとがお尻につかない選手は太もも前側の筋肉がかなり固くなっています。

投球フォームの関係性で考えると、軸足の太ももの前側が固い選手はステップ幅を十分にとることが難しくなり、体重移動での加速や下半身から上半身への力の伝達が弱くなり、パフォーマンス低下につながってしまいます。

ピッチング動作は肩関節、肩甲骨、体幹、股関節などを使った全身動作であるため、全身の中で固い部位が出きてしまうと効率がよい投球フォームで投げることができなくなってしまいます。

とくに股関節の固さが強くなると下半身を使って投球することができなくなり、球速が上がりにくくなるだけでなく、上体に頼った投球になり、肩や肘にかかる負担が大きくなってしまいます。

また、上体に頼った投球フォームがクセになってしまうと、ストレッチをして柔軟性が改善したとしても、投球フォームの修正をするのが難しくなってしまいます。

そのため、中学生の時期にしっかりとストレッチを行い、体が固くなるのを予防することが大切になります。

中学生で発生しやすいクラムジー症候群

中学生でトレーニングをするうえで気をつけたいポイントの2つ目がクラムジー症候群です。

クラムジーという言葉は聞きなれない方が多いと思いますが、体格の急激な変化によってバランスが悪くなり、動作がぎこちなくなることをいいます。

分かりやすくいうと「脳が体の変化についていけない」状態です。

体の使い方を修正しようと思ってもなかなかうまくいかず、トレーニングやドリルの効果がすぐに現れにくい時期になります。

監督、コーチ、親などが選手の動きがぎこちなくなっていると感じてもあせることはせず、適切なトレーニングを反復練習して動作が改善することを長い目で見守ってあげる視点を持つようにしてください。

中学生の球速アップトレーニングの基本コンセプト

これまで中学生特有の発育発達上の課題について説明していきましたが、悪い点ばかりではありません。

中学生の時期は男性ホルモンの分泌が盛んになり、筋肉の中でも速筋線維が成長しやすくなるといわれています。

速筋線維は素早く収縮するのに向いている筋肉タイプです。

球速アップのために瞬間的に爆発的な力の発揮が必要なピッチャーにとって重要な筋肉です。

中学生の時期にしっかりとトレーニングを行うことで筋肉の速筋の割合を増やすことが球速アップのカギになります。

ジャンプトレーニング、スプリントトレーニングや伸張-短縮サイクルといって筋の伸び縮みをうまく使って力の発揮を効率良くするトレーニングなどを行いましょう。

1つ注意点として成長期段階にある中学生では、高負荷なウエイトトレーニングではなく自重トレーニングを行うようにしてください。

その理由としては、適切な自重トレーニングを行うことで筋肉にしっかりと負荷をかけつつ、関節や骨への負荷は少なくすることができます。

また、高負荷のトレーニングではたくさんの回数を行うことができませんが、自重トレーニングでは回数をこなすことができます。

トレーニングの実施回数が増えることで

代謝物受容反射が起こり、成長ホルモンの分泌がよくなる

東京大学教授石井直方の筋肉の科学.ベースボールマガジン社より引用

といわれています。

この時期にウエイトトレーニングなどの高負荷で低回数のトレーニングばかり行うと体への負担が大きいだけでなく、体の成長を損なう可能性があるので注意しましょう。

中学生で質の高いトレーニングできるかは今後の野球人生を左右するといっても過言ではないくらいとても重要です。

あるアンケート調査では

大学選手約300名に、「技術的に、自分がもっとも成長したと思う時期は?」とアンケートを取ると、中学生の高学年期を挙げる選手が多い。

川村 卓. 新しい少年野球の教科書 科学的コーチングで身につく野球技術

という結果が出ているそうです。

急激な体格の変化やそれに伴うクラムジー症候群などトレーニングメニューを考えるのが難しい中学生の時期ですが、この時期に正しいトレーニングを積むことですぐに効果は出ないかもしれませんが、長い目でみると飛躍的なパフォーマンスアップが期待できます。

ここまでをまとめますと

・中学生では柔軟性低下が起こりやすいのでストレッチを欠かさずに行う
・クラムジー症候群が出現やすい時期なのであせらずに反復練習を地道にこなす
・指導者、選手の親は長い目で見守ってあげる。選手をあせらすような発言はしない
・自重トレーニングで筋力アップをはかる

ということになります。

中学生に必須の球速アップトレーニング

それではこれから具体的なトレーニングメニューについて見ていきましょう。

柔軟性アップのストレッチ

まずは柔軟性アップです。

・ジャックナイフストレッチ(15回×3セット)

<ポイント>
お尻を最大限まで持ち上げるがこのときに太ももとお腹が離れない
しゃがむときはお尻を下まで降ろす。下まで降りない選手はかかとを少し浮かす

・膝エクステンションストレッチ(左右30回×3セットずつ)

<ポイント>
膝を伸ばすときに手でかかえている膝の位置を変えない
膝をできるだけ伸ばす

・股関節前後ストレッチ(足を入れ替えて20回×3セットずつ)

<ポイント>
後ろをなるべく大きく開く
前足の膝は直角のまま
リズムよく体を上下に動かす
目標は両肘が地面につく

・体幹ひねりストレッチ

<ポイント>
体をひねるときに前足の膝が内側に入らないようにする
顔はキャッチャー方向をみる

回転パワートレーニング

・メデシィンボールサイド投げ(左右20球ずつスロー)

体の正面にメデシィンボールを置いたところから投げる方向と反対側にひねりを入れてからできるだけ遠くに投げるようにしましょう。

中学生ではメデシィンボールの重さは2kgで十分です。

ポイントは助走をとってからボールを投げるまでの時間をなるべく短くしてください。

ひねったところで動きが止まってしまうと伸張—短縮サイクルを利用することができず、爆発的な力を出せなくなってしまいます。

ジャンプ力向上トレーニング

MLB選手のデータですが5年間181名のデータから垂直跳びが高い選手ほど球速が速い傾向があったといわれています。

ジャンプトレーニングは球速アップに欠かせません。

下のメニューがオススメです。

・バウンディング(20m×6本)
・全力でスキップ(20m×6本)
・デプスジャンプ(15回×2セット)

2つ目の全力スキップはスキップでなるべく大きく手を振って着地した瞬間に最大限高く跳ねて飛ぶようにしてジャンプしてください。

ジャンプ力向上トレーニングは関節や骨にかかる負担が大きいので最初は回数が少なくても構いません。

徐々に回数を増やすようにしましょう。

体幹トレーニング

体幹トレーニングは広背筋を中心にトレーニングするようにしましょう。

広背筋の筋量が多い選手ほど球速が速いというデータも出ています。

腹筋トレーニングも必要ですが、今回は広背筋に効くオススメトレーニングを紹介します。

・懸垂(補助付き)

懸垂は広背筋の強化にとても向いています。

ただ、中学生には負荷が強いので必ず2人1組になって補助つきで行うようにしてください。

補助者は後ろからお尻をしっかり持ってあげるようにしてください。

懸垂ができる回数は選手によって差が大きいので各選手の限界まで繰り返すようにしてください。

基本コンセプトのところで話したように回数を重視したいので補助者は下から持ち上げるくらいしっかりアシストするようにしましょう。

懸垂のやり方のポイントは以下のとおりです。

1.手を肩幅より少し広めにして持つ
2.体を持ち上げるときに体を反らすようにする。体幹をまっすぐのままにしない

・メデシィンボールバックスロー(20球)

足を肩幅に広げてボールをいったん降ろしてから一瞬で振り上げて頭の上から背面投げをするようにしてください。

スプリント能力向上トレーニング

30m走のタイムがいい選手ほど球速が速いというデータがあります。

これは30m走とピッチング動作でハイパフォーマンスに必要な瞬間的に爆発的な力の発揮の仕方が似ているためです。

30m走は速筋を活性化するトレーニングにとても適しているといえます。

球速アップのために短距離の直線ダッシュをするようにしましょう。

目安は15〜20本です。

まとめ

中学生にオススメの球速アップトレーニングとその根拠について紹介しました。

中学生は体の変化が著しく、トレーニング指導で難しい面がとても多いです。

ただ正しい知識でトレーニング指導をすることですぐに効果はでなくてもいずれは球速アップにつなげることができます。

今回紹介したトレーニングメニューだけでなく、その背景も踏まえてトレーニングを実践するようにしましょう。

【執筆者】
理学療法士 芹田祐
運営ブログ(https://pitcher-room.com/

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